WORK

実績

2020.11.9

リビングラボ

ともに育むサービスラボの3年間の歩み

「ともに育むサービスラボ(はぐラボ)」は、子育てに関する対話を通じて製品・サービスの共創を促し、約3年間で多くの企業・行政機関と共創してきた。生活者の声を活かし、子育てを支援するアイデアを生み出した。

課題
対話を通じた共創におけるコミュニケーション促進と、企業と生活者の関与を高めること。
施策
前半の「知恵・運動の時間」と後半の「対話の時間」で参加者の緊張を解き、工夫されたテーマとツールを使用して意見を引き出した。
成果
49回の開催で150名以上の子育てママパパが参加し、多くの企業/行政/大学の方と連携。生活者のアイデアを活かし、新しい製品やサービスのアイデアを創出した。

「企業と生活者がもっと気軽に直接話し合いながらサービスを考えることができたら、もっと素敵なサービスを生み出すことができるのでは?」そんなことを考えていた頃、我々は北欧でリビングラボという取り組みが始まっていると耳にしました。2016年、デンマークに視察に行き、リビングラボにおいて、サービスの作り手、運営者、利用者といった多様な主体が意見を交わし、テストと改善を細かく何度も繰り返すことで、現場に求められる素晴らしいサービスを生み出していることを知りました。ぜひ自分たちもこのような取り組みをしたいと思い、帰国後、子育てをテーマにしたリビングラボ『ともに育むサービスラボ(通称:はぐラボ)』を立ち上げました。

こちらでは、2017年5月~2020年2月の約3年間にわたって運営したはぐラボの活動についてご紹介します。

はぐラボは、子育て中のママパパ、企業/行政、デザイナーが集まって対話を重ねながら、子どもとの生活をより楽しく、快適にする製品/サービスを一緒に創り上げていく場です。
企業/行政の皆さまに、子育て中のママパパと共創したい製品/サービスを提供いただき、それをテーマに対話を行いました。対話で得たママパパの「生の声」を反映しながら、製品/サービスを創り上げていくことを大事にして運営を行いました。

活動概要

■ 参加を希望する生活者を一般に募り、月1~2回午前午後の2回に分けて定期開催を行う
■ 企業/行政/大学の人も参加でき、出てきた意見やアイデアを自由に使うことができる

活動の様子

はぐラボは前半の【知恵・運動の時間】と後半の【対話の時間】で、構成されています。
【知恵・運動の時間】では、子育て生活に役立つ様々な情報を共有したり、親子で手や体を動かして楽しむプログラムを提供したりしていました。
【対話の時間】では、企業の知りたいテーマに沿って、ママパパが日頃感じている要望や悩みを話したり、解決するアイデアを考えたりしていました。
このような2部構成にしている理由は、前半で参加者の緊張状態を解き、後半リラックスした状態で要望や悩みを話していただくためです。また、前半ではママパパの関心のありそうなテーマを選定することで、はぐラボへの参加意欲を高めるとともに、実際に参加してみて楽しいと思ってもらえるような工夫を施しています。後半についても、アイデアの具現化や記録に様々なツールを取り入れたり、実際に新サービスの試作品を試してもらうことで、参加者と企業両方の満足度を高めるという狙いがあります。

【知恵・運動の時間】の主な活動

1.子どもの教育と遊びについて役に立つ情報を提供する

子どもの教育に関する知見やおすすめのお出掛けスポットを紹介するなど、参加者の日々の子育て生活に役立つ情報を提供することを目的として企画しました。クイズを取り入れたりするなど、一方通行にならない楽しい雰囲気作りに努めました。

<事例:”色”を使った子どもとのコミュニケーション!>

色彩心理学を学んだ担当者が、色を通した親子のコミュニケーションについてお話ししました。子どもはどんな色が好き?色鉛筆はいつから?などの疑問に答えたり、色の見え方の個性についてなど、ママパパが興味関心のありそうな内容を取り上げました。

2.親子で一緒に手を動かして工作する

ともに育むサービスラボには開催中子どもを預けられる保育士が在籍していますが、”親子で一緒に楽しむ”をコンセプトにおもちゃ作りなどを企画しました。材料はの用意は事前に運営側で行い用意し、参加者は手ぶらで楽しめるようにしました。また、持ち帰ってお家で遊んだり、アレンジできるようなものを選び、お家でのコミュニケーションにも繋がるように工夫しました。

<事例:魚釣りを作って遊ぼう>

家にあるもので作ることができる魚釣りのおもちゃを作りました。魚釣りの釣り竿のデコレーションや魚の色塗りは、親子で楽しめるということで好評でした。

<事例:小さなクリスマスツリーを作ろう>

松ぼっくりをデコレーションして、クリスマスツリーを作りました。ビーズ選びや土台選びなどは、参加者同士で交流しながら夢中で楽しんでいただけたようです。

3.気持ちよく体を動かしてリラックスする

ついつい陥ってしまいがちな運動不足を解消しリフレッシュしてもらうために、ストレッチやフラダンス体験などを実施しました。はぐラボの会場には子供が自由に行き来できるようにプレイマットを敷き詰めており、時には子供も混ざって親子でのびのびと体を動かしていました。

<事例:楽しくストレッチしよう>

バレエ歴15年を超えるスタッフがいつもレッスンで行っているストレッチを紹介し、参加者に体験してもらいました。

【対話の時間】の主な活動

1.新サービスの着想を得るため、生活や子育てについて赤裸々に語ってもらう

新しいサービスを考えるにあたって、参加者のママパパから生活者としての生の声をいただきました。参加者が対話に参加しやすくなるようなツールを導入することで、より自然な意見や感想を引き出しながら、参加者同士の対話を活性化することを狙いました。

<事例:子育て情報活用マップを作ろう>

子育てをする上で、どのような情報をどのように集めているかをはぐラボに参加していただいたママパパに出し合ってもらいました。その結果、こんな場面でこんな情報が役立った、このサイトをよく使っているなど実際に子育て生活をしているママパパならではの情報活用術がたくさん出てきました。出てきた情報活用術は、付箋とプロジェクターを組み合わせたツールを導入して整理しました。整理されたものを見てもらった上でさらに対話してもらうことで、意見の幅を広げることができました。
今後の子育て情報の収集に役立てていただくために、つくったマップは参加者の皆さんに写真に撮ってお持ち帰りいただきました。

2.新サービスのアイデアを、子育てママパパと一緒に考える

企業/行政/大学が新しいサービスを考えるにあたって、生活者であるママパパとともにアイデアを創出できるような場を設計しました。企業/行政/大学の人の前では緊張してしまう生活者も多いので、全員がざっくばらんに参加してアイデアを共創しやすくなるように設計段階で工夫を施しました。

<事例:子育てと未来の医療を みんなで考えよう>

東京工業大学との共同研究の一環で、子どもの医療に関する未来のサービス/商品のアイデアを生活者のママパパと一緒に考えました。アイデア創出から発表にあたり、人形で演じながらアイデアを具体化していくDoll手法を取り入れました。

3.製品を触ってもらい改善点の意見をもらう

使いたいと思われる優れたサービスを生み出すために、ユーザーを強く意識できるような場を設けました。生活者であるママパパに実際にサービスを試してもらうことで、改善に繋がる意見を集めるとともに、企業/行政/大学が正直な反応を肌で感じることを可能にしました。これにより短いスパンで評価と改善を繰り返せるようになりました。

<事例:子どもの創造性を育むメディアアートをみんなでデザインしよう>

絵を重ねて遊ぶブルーノムナーリのおもちゃや、ロボット・VRなどの先端技術を使ったメディアアート体験を開催しました。その中で出た意見をもとにメディアアートをブラッシュアップし、メディアアート体験の続編も開催しました。その体験の中で生活者であるママパパに変化を感じてもらうとともに、どうすれば子どもの創造性をさらに育めるものになるか、製作者を含め参加者全員で考えました。

活動実績

ともに育むサービスラボは全部で計49回開催しました。(※各回、午前午後の2部制)
約3年間で150名を超える子育てママパパ(のべ400人以上)にご参加いただきました。
また、下記の企業/行政/大学にご参加いただきました。

○企業

NEC/大和ハウス/住環境研究所/オージス総研/パソナフォースター/ベネッセスタイルケア/中部電力/東北電力/コミカニノルタ/ダスキン/nstyle
NTTコミュニケーションズ/NTTドコモ/NTT研究所/NTTデータセキスイシステムズ/NTTコムウェア/NTTデータ経営研究所/ NTT都市開発

○行政・福祉

鎌倉市政策創造課/横浜市政策局/横浜市麦田地域ケアプラザ

○大学

早稲田大学/東京工業大学/立教大学/芝浦工業大学

○その他、NPO法人や任意団体など

kosha/キッズデザイン協議会
※順不同、非公開企業/行政/大学を除く

参加者の声

実際にご参加いただいたママパパの感想をご紹介します。こちらは最終回終了後にいただいたものです。

元町にある「セーブポイント夢見る白雪姫」というとっても可愛いらしい場所で3年近くも開催されたNTTテクノクロスさんの「ともに育むサービスラボ」の最終回に行ってきました。2018年後半に初めて参加し、息子も大好きだった通称「きのこさん」。同室で子守の方がいて下さるので、子供とからみつつも大人の会話ができる貴重な時間をいただきました。最新のテクノロジーやサービス、こんなのはどうだろう?という「まだないもの」「未来」を創ったり、日々の子育てで感じた事を他の人と共有したり、ワクワクのいっぱい詰まった場所でした。そして、企業の方が真剣に話を聞いてくださったのが何よりの癒しでした。子育てって自分の事であるのだけど、自分だけではどうしようもない事だらけでイライラしたり、落ち込んだり、たった五年でも本当に色々あったなぁと思います。子育ては一瞬、一瞬が貴重な時間だとは思いつつも、それを共に喜んだり、悲しんだり、時には笑いあったり、真面目に語り合ったりできる人達がいてこそだなぁと実感できたのもはぐラボさんのお陰でした。息子は幼稚園に通い出してからも「きのこさん行きたいなぁ」というほど大好きだったようです。関係者の皆様、お疲れ様でした!!!

はぐラボは2020年2月をもち、定期開催を終了しました。現在は、運営について蓄積したノウハウを活用し、様々な地域のコミュニティと連携して、より広い生活者層を対象として活動しております。

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